特許コラム
2011年10月11日 火曜日
中国特許のこと
中国での特許訴訟の記事が日本経済新聞に出ていました。
「中国メディアによると、「愛国者(aigo)」ブランドで知られる中国のIT(情報技術)機器メーカー、愛国者電子科技は10日、パソコンのUSB技術を巡る一審で東芝に勝訴したと明らかにした。(以下略)」(2011年10月11日、日本経済新聞)
特許の仕事をしていると、色々な方に聞かれるのは
「中国の特許の実情はどうなっているのか」
ということです。
中国特許で裁判を起こして、ちゃんと勝てるのか? ちゃんと裁判をやってくれるのか?という話です。
それに対して、「少なくとも審査はここ数年で急速にレベルが上がって、審査の質という点だけなら、先進国との差は少なくなっている」ということを申し上げられます。
しかし、訴訟という局面になったときがどうなのか、というのは私にはよく分からない状況です。実際に特許訴訟を行った日本企業から実情を聞くという機会も少なく、そこで何が起こっているのかも、実際に裁判に関与したわけでない部外者にはなかなか分かりません。
この中国の訴訟の件も、果たしてどういう状況だったのか、具体的な特許の内容、東芝の実施形態、裁判所で裁判官が示した判断の手法等の詳細を調べなければ、中国の裁判所の判断が妥当なものであったかどうかは分かりません。それらの正確な情報を得ることは決して容易ではありません。
日本企業の方が中国の特許について一番知りたがっているのは、
「果たして海外企業と中国国内企業とを公平に扱って裁判をやるのか? 中国国内企業に有利な判断をしてくるのではないか?」
ということです。
そういう意味では、この判決の内容は興味の湧くところです。とはいえ、当然、判決文は中国語ですから、その内容を読むことはできないですし、東芝も詳細を公開するとは思えないので、非常にもどかしい状況ではあります。
どなたか、この事件の詳細をご存知の方がおられたら、ぜひ教えて下さい。
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2011年10月10日 月曜日
心境の変化
すっかりご無沙汰してしまいました。
忙しかったというのもあるのですが心境の変化もあって、ブログ更新をしていませんでした。
「どうしてもこれだけは更新しなければ」と思うようなネタもなかったので、だらだらと更新しないままにしばらく経ってしまいました。
心境の変化は何かというと大したことではないですが、
「しばらく色々なことを自分のペースでやっていこう」
と思った、ということです。
今まで週に何回かはブログ更新しよう、というようなことを自分で義務付けていた面があったのですが、今後、そういうことはやめよう、と思ったわけです。
もう少し書くなら、ブログに限らず仕事全体について、「こうしよう」と決めて、それを必死で遂行する、というやり方はやめよう、と最近思いはじめています。
それよりも、特許の実務に関すること以外は、自然に思いついたこと、やりたいことをやる、というスタイルにして行こう、と。
特許事務所所長というと経営者なので、特許の実務の仕事以外にもやらないといけないこと、考えないといけないことが色々あります。ブログというのもその一部です。
そういう種類の仕事に「正解」はありません。自分が「こうすればうまくいくんじゃないか」と思ってやったことがうまくいかないこともあります。逆に深く考えずにやったことが、よい結果に結びつくこともあります。
その手の「正解のない仕事」をやるときは、何をやっても結果は予測できないのだから、「やりたいことをやりたいペースでやろう」と最近思いはじめました。
どうせ最初に思い描いていた通りにならないなら、嫌なことを我慢してやるよりもやりたいことをやったほうがいい、という。「こうやればいいんじゃないか」と理屈で考えて、嫌なことを我慢して必死でやって、結果、うまくいかなかった、ということのストレスの大きさは本当にすさまじいものがありますので。
「ブログ」についても、やっていて楽しいと感じるときと面倒くさいと感じるときとがあります。正直、今までは「面倒くさい」と思ったときでも我慢して色々無理にネタ探しして書いていました。
しかし、このような心境の変化があったので、これからは「これは書いておきたい」というネタがあったときだけ更新する、という方針に変えていこうと思っています。
というわけで、自分のなかで「ブログ書きたい」という思いが盛り上がってくれば更新回数も増えるかもしれないですが、しばらくは少し更新回数も減らしてマイペースでやっていこうと思っています。
長々と言い訳をしてしましましたが、別にブログをやめるわけではないので、またよろしくお願いします。
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2011年9月25日 日曜日
会社のOB会
この三連休に、私がサラリーマン時代勤務していた会社の知財部門のOB会がありました。
で、参加させていただいた(というか、幹事の末席に名前を連ねさせて頂きました)のですが、色々と感慨深いものがありました。
参加者は最年長の方はもう会社を定年で退社されて、20年以上という方で、一番若い方は30歳前後です。こういう幅広い年代の方が集まる宴会というのも、珍しい気がします。
一番年上の方は、知財部門に移られたのは昭和40年代ということですから、私が生まれた頃です。一番若い方はまだ生まれてもいないはずです。
知財の仕事はスパンの長い仕事です。私も会社にいるときは、自分が入社するより前の面識のない先輩方が出願を担当された案件について、中間手続をすることはよくありました。
そういう形でかかわりのあった方というのは、どこか「他人」のような気がせず、初対面のはずなのに、「これがあの××さんか」と妙に懐かしい気持ちになってしまうのでした。
ちなみに、先日は、弁理士会の義務研修(倫理研修)に参加したとき、たまたま同じ日に事務所勤務時代の「顔を知らない先輩」にお会いして、名刺交換させていただくこともありました。
その方は、私が事務所に入る2ヶ月前に退所された弁理士で、私はその方が担当されていた顧客企業をそのまま引き継がせて頂きました。ですから、その方が出願を担当された案件についての中間処理は非常に多くの数、行わせて頂きました。
そういう方とお会いするというのも、不思議な気持ちです。初めてなのに初めてでないような感じ、と言いましょうか。その方が書かれた明細書を多く読んでいると、他人ではないような気がするのに、現実にはお会いしたことがない、というのは不思議な関係です。
私も会社を辞め、特許事務所を辞め、ということをしてきたので、会社や事務所では名前だけが伝わっていたりするのでしょうか。「昔、八木さんという人がいて……」という噂がどこかでされていたりするのでしょうか。
また、私が明細書を書いた案件について、中間手続をされている方のなかには、すでに「私が顔を知らない後輩」がいて、私が書いた明細書を読みつつ、「この人はどんな人だったんだろう」ということを想像していたりするのでしょうか。
そうやって仕事が引き継がれていく、というのが奇妙に面白いことのような気がして、少し気分の晴れた三連休でした。
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2011年9月22日 木曜日
弁理士試験合格発表
特許庁ホームページで今年の弁理士試験の二次試験の合格発表がされていましたね。今年ももうそんな季節になったか、という気分です。
しかし、一時期に比べると受験者数も合格者数もずいぶんと減ってきたようですね。しかも、最近は三次試験の口述の合格率が下がっていますから、今年どれくらいの最終合格者がでるのか、まだ分からない段階です。
しかし、口述の合格率がここまで低くなると(去年は7割)、受験生はつらいですね。去年口述で不合格だった3割の方が今年も口述受験されるでしょうが、2年連続口述不合格、となる方もある程度の割合で発生する、と思われますが、そういう状況に陥った方の胸中を思うと、ちょっと苦しいです。
それだったら、筆記試験で不合格のほうがまだ気が楽、というか。
とりあえず、二次試験に合格された方は、まだまだ「おめでとうございます」という言葉を受けるには早いですよ。ここで失敗するとまた一年、勉強が続いてしまいますから。気を引き締めてがんばって下さい。
しかし、弁理士試験の合格発表を見ていると、ついつい自分の出身大学が合格者ランキングで何位にいるだろう? ということを調べてしまいます。あまり弁理士試験の結果に興味がなくなっているはずなのに、そこだけは見てしまうというのも、どういうことなのでしょうか。自分でも不思議です。
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2011年9月17日 土曜日
米国特許法、先願主義へ
米国特許法改正の記事がでましたね。
まあ、これについて、私ごときが語ることはありません。その意義やらこれから検討すべきことなどは、あちこちで色々な人が語っており、またこれから語られることでしょうから、そちらを見ていただければ、と思います。
私もこれから改正法の勉強をしなければ、と思っています。
まあ、大方の意見は、
「米国だけほかの国と違う上に、実利的ではない「先発明主義」を採用して、面倒くさかったのが解消されてよかった」
という判断でしょう。
それは、日本人だけではなく米国人でも「よかった」と思っている人が多いのではないでしょうか。
まあ、確かに米国のこの制度は現代の社会に合わないですし、私が知財の仕事を始めた頃からずっと改正の話は出ていたので、「ようやく」という印象です。
今のところ、まだ改正内容の勉強をそれほど詳細にしているわけではないので、この件についてはこれ以上書きません。
また勉強をした後で、書くべきことを感じたら何かネタにさせて頂きます。
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