特許コラム
2010年6月 4日 金曜日
弁理士を探す
「弁理士ってどうやって探せばいいんですか」ということを質問されることがあります。
「それならウチの事務所と一緒に仕事をして行きましょう!!」と言いたいところですが、種々の事情(技術分野や地域の問題等)があって、必ずしも私が受けることができない場合もよくあります。
そういう場合、いつも悩んでしまいます。
実は、弁理士を探すということは簡単なようで難しいことではないかと思います。事実、「弁理士ってどうやって探せばいいんですか」と聞かれたときに、答えはしたものの、あれでよかったのだろうか? と今でも思ってしまいます。
そういう気持ちのなかではありますが、一応、どういう感覚で弁理士を探せばよいのか、少しでも参考になりそうなことを申し上げます。
①事務所の規模よりも、弁理士個人の能力
特許事務所の規模と弁理士の能力とは必ずしも関係しないように思います。
もちろん、大きい特許事務所は弁理士の数が多いですから、そのなかには有能な弁理士の方がおられます。反面、大手特許事務所であってもまだまだ経験不足で勉強中という弁理士もおられます。
一方、小さい特許事務所の弁理士のなかにも優秀な方はおられます。大手事務所でエース級扱いだった弁理士が独立して開業した事務所もありますし、華やかな経歴はなくてもこつこつと勉強と経験を積んでこられた立派な先生もおられます。だからといって、小さい特許事務所の弁理士の先生が全員有能というわけではないと思います。
特許の仕事は個人の能力に依る部分が非常に大きいので、事務所というよりは担当の弁理士個人を見る必要があるように思います。
優秀な弁理士は、大手事務所内にも小規模事務所内にも同じくらいの割合でおられて、優秀な方に当たる割合はどちらに出されてもあまり変わらないのではないか、というのが私の印象です。
②特許庁の電子図書館を利用する。
特許庁電子図書館はこちら→http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl
特許庁電子図書館では、1年半以上前に出願された特許出願の明細書を見ることができます。
ここから、色々な情報が取れます。
出願しようと思われている分野に近い分野(で、ライバルメーカーとは絶対にならないような会社)の特許出願の明細書等を読まれてみてはいかがでしょうか。そういった会社を担当している弁理士の名前が書かれています。
その内容を読んでこの人なら、と思われたなら、その弁理士に頼んでみるのも一つの手かもしれません。
③実際に会う
弁理士探しの難しさは、会ったことのない弁理士に仕事を頼まないといけない、ということにもあるように思います。
それなら、とにかく弁理士に会う機会を作ってみるのも手ではないでしょうか。
弁理士会が開催する無料相談会や商工会議所等の相談窓口、技術交流会、弁理士が講師で行うセミナー、その他、色々な場所で弁理士に会う機会を作ってみるのも一つの手でしょう。
弁理士に会ってみて、「この人なら」と思える人ならその人に頼めばいいわけです。
④どんな弁理士がいい弁理士なのか?
結局、探すきっかけがあっても、いい弁理士を見分けることができなければ同じことですよね。
特許の仕事をしたことがない人からすれば、「この人はいい弁理士なの?」ということはなかなか判断がつかないのではないでしょうか。
そこについては、また別に改めて何か書きたいと思っています。
色々と書きましたが、それでも、
「ここに書いたようなやり方でいい弁理士を探すことができます! 」
と申し上げられるようなことでは全くないです。
やはり、結局行きつくのは、
「いい弁理士を探すのは結構難しい」という結論になってしまいます。
投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL
2010年6月 1日 火曜日
化学特許②
化学特許についての話の続きです。
化学特許の特徴として、
侵害の証明が難しい
ということを前回のブログで書かせて戴きました。
何故でしょうか。
それは、
①分析が難しい。(技術的理由)
②他社が何をやっているのかは、実際の製造現場を見なければ分からない。(企業秘密の問題)
があるように思います。
化学分析は、「何でもできる」わけではないです。特に分離という作業には限界がありますから、混合物のなかから目的の化合物のみを取り出してその物性を分析する、というのは極めて難しいことです。
そして、何とかうまくやった、と思っても、敵側からは「分析におけるこの作業はおかしい」といった文句が分析のあちこちに対してつけられてしまいます。
特許を書くときは、発明者は実験者ですから、原料が何でどのような反応をして、ということはすべて分かっています。分かっているから、特許を書くときは困りません。混合物について、この中には何が入っているんですか? と聞かれてもすらすら答えることができます。自分で混ぜて混合物を作ったわけですから。
しかし、特許が成立したときに、最終製品のみを目の前に置かれて、分析手段のみを使って、その組成物の中身を正確に分析するというのは本当に大変なことです。分野によっては、そのようなことは不可能ということもあるでしょう。
一方、他社は自分たちの製品の詳細については絶対に教えてくれません。製造現場を見ればわかることでしょうが、製造現場を同業他社に見せてくれる会社なんて、まずありません。それは、企業秘密に属することですから、教えてくれない限りは正当な手段で正確に知ることはできません。
最終製品を市場に流している会社であれば、最終製品は入手できますが、化学会社は素材メーカーであることが多いため、敵が作っている製品自体を入手できないことも頻繁にあります。
このような状況の中でどうやって他社の侵害をつかむのか。
それは極めて難しいことです。運不運もありますし、技術分野によって他社を追求しやすい分野、追及しにくい分野もあるでしょう。
ただ、結局は、日々のルーチンの仕事のなかで、どこまで「侵害になった場合」ということをイメージして作業を行うかということしか対応策はないように思います。
もちろん、力を入れてきちんとした対応をしていても、結果として他社を追及できなくなってしまう場合も多々あります。しかし、個々の案件ではなく全体としてみれば、「生きた特許」を獲得する割合は「侵害になった場合」をイメージすることできっと高くなるはずです。
では、「侵害になった場合」をイメージするというのはどういうことなのか? どうすればいいのか?
それはまた難しい問題です。そこまでの話を一気に書くことは難しいので、そのあたりはまた次の機会に。
化学特許の特徴として、
侵害の証明が難しい
ということを前回のブログで書かせて戴きました。
何故でしょうか。
それは、
①分析が難しい。(技術的理由)
②他社が何をやっているのかは、実際の製造現場を見なければ分からない。(企業秘密の問題)
があるように思います。
化学分析は、「何でもできる」わけではないです。特に分離という作業には限界がありますから、混合物のなかから目的の化合物のみを取り出してその物性を分析する、というのは極めて難しいことです。
そして、何とかうまくやった、と思っても、敵側からは「分析におけるこの作業はおかしい」といった文句が分析のあちこちに対してつけられてしまいます。
特許を書くときは、発明者は実験者ですから、原料が何でどのような反応をして、ということはすべて分かっています。分かっているから、特許を書くときは困りません。混合物について、この中には何が入っているんですか? と聞かれてもすらすら答えることができます。自分で混ぜて混合物を作ったわけですから。
しかし、特許が成立したときに、最終製品のみを目の前に置かれて、分析手段のみを使って、その組成物の中身を正確に分析するというのは本当に大変なことです。分野によっては、そのようなことは不可能ということもあるでしょう。
一方、他社は自分たちの製品の詳細については絶対に教えてくれません。製造現場を見ればわかることでしょうが、製造現場を同業他社に見せてくれる会社なんて、まずありません。それは、企業秘密に属することですから、教えてくれない限りは正当な手段で正確に知ることはできません。
最終製品を市場に流している会社であれば、最終製品は入手できますが、化学会社は素材メーカーであることが多いため、敵が作っている製品自体を入手できないことも頻繁にあります。
このような状況の中でどうやって他社の侵害をつかむのか。
それは極めて難しいことです。運不運もありますし、技術分野によって他社を追求しやすい分野、追及しにくい分野もあるでしょう。
ただ、結局は、日々のルーチンの仕事のなかで、どこまで「侵害になった場合」ということをイメージして作業を行うかということしか対応策はないように思います。
もちろん、力を入れてきちんとした対応をしていても、結果として他社を追及できなくなってしまう場合も多々あります。しかし、個々の案件ではなく全体としてみれば、「生きた特許」を獲得する割合は「侵害になった場合」をイメージすることできっと高くなるはずです。
では、「侵害になった場合」をイメージするというのはどういうことなのか? どうすればいいのか?
それはまた難しい問題です。そこまでの話を一気に書くことは難しいので、そのあたりはまた次の機会に。
投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL
2010年5月28日 金曜日
化学特許
弊所では、化学分野の特許を主に扱っています。
特許の技術の分野は、おおよそ、電気、機械、化学に分けて考えられているようですが、私はこれまでの仕事では圧倒的に化学の特許を多く扱ってきました。
特許は技術の分野毎に特徴があって、技術分野の特徴を踏まえることなく進めようとすると、うまくいかないことが多くなります。
そこで、化学の特許ということの特徴は何だろう? と考えてみると、
①侵害の証明が難しい。
②特許出願のときに「製造方法」が特徴になってしまいやすい
といったことになるのではないでしょうか。
このことは化学の分野で特許を扱うときには必ずと言っていいほど問題になることです。ある程度化学の特許の仕事を経験された方からすれば「常識」なのですが、まだあまり特許の経験のない方、これまであまり特許を出してこなかった会社の方からすればピンと来ないことかもしれません。
しかし、特許を出願するときからこれらの特徴を頭に入れて作業を行わないと、後になってから問題に気がついて頭を抱えるということになりかねません。
特許出願というのはお金がかかるものですから、後になって「こんなことなら特許出願なんかするんじゃなかった」と思ってしまうことさえもあり得ます。
一方では、最初からこれらの化学特許の特徴をきちんと踏まえて作業を行っておくことで、特許によって他社の参入を防いだり、有利な条件でライセンス契約を結んだりできたケースも多くあります。
弊所では、このような背景をふまえて、如何にして特許をビジネスに役立てるのか、という観点からアドバイスをさせて戴きたいと考えています。
本ブログでも、主に化学分野の特許でのお話しを中心に、皆さんのお役に立てるような情報を提供していきたいと考えています。
宜しくお願いします。
特許の技術の分野は、おおよそ、電気、機械、化学に分けて考えられているようですが、私はこれまでの仕事では圧倒的に化学の特許を多く扱ってきました。
特許は技術の分野毎に特徴があって、技術分野の特徴を踏まえることなく進めようとすると、うまくいかないことが多くなります。
そこで、化学の特許ということの特徴は何だろう? と考えてみると、
①侵害の証明が難しい。
②特許出願のときに「製造方法」が特徴になってしまいやすい
といったことになるのではないでしょうか。
このことは化学の分野で特許を扱うときには必ずと言っていいほど問題になることです。ある程度化学の特許の仕事を経験された方からすれば「常識」なのですが、まだあまり特許の経験のない方、これまであまり特許を出してこなかった会社の方からすればピンと来ないことかもしれません。
しかし、特許を出願するときからこれらの特徴を頭に入れて作業を行わないと、後になってから問題に気がついて頭を抱えるということになりかねません。
特許出願というのはお金がかかるものですから、後になって「こんなことなら特許出願なんかするんじゃなかった」と思ってしまうことさえもあり得ます。
一方では、最初からこれらの化学特許の特徴をきちんと踏まえて作業を行っておくことで、特許によって他社の参入を防いだり、有利な条件でライセンス契約を結んだりできたケースも多くあります。
弊所では、このような背景をふまえて、如何にして特許をビジネスに役立てるのか、という観点からアドバイスをさせて戴きたいと考えています。
本ブログでも、主に化学分野の特許でのお話しを中心に、皆さんのお役に立てるような情報を提供していきたいと考えています。
宜しくお願いします。
投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL
2010年4月19日 月曜日
弁理士について
弁理士について
今回は、弁理士についてご紹介させて頂きます。
みなさんあまり弁理士という言葉を聞かない方もいらっしゃるとは思いますが、
弁理士とは、
特許出願(登録)に関する出願、手続代理などを行うのが、国家資格である弁理士になります。
知的財産権をはじめとした各種権利を巡る紛争処理の業務にもあたります。
弁理士の多くは個人で特許事務所や弁理士事務所を経営、あるいは業務法人に所属しています。
特許申請、商標登録など専門家だからこそ、皆様のお役に立てるようお手伝いさせて頂いております。
特許に関して、知財に関してなど、お困りの際は是非一度ご相談下さい。
化学系特許に関して専門になりますので、ご相談お待ちしております。
その他分野も可能になります。
投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL
2009年1月14日 水曜日
ブログを始めます。
これからブログを始めていきます。みなさまにお役にたつような情報を掲載していきたいと思っておりますので、今後とも宜しくお願いします。
投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL