特許コラム

2011年10月29日 土曜日

外国代理人

 特許事務所の秋は、外国の代理人がたくさん訪れる季節です。やはり、日本に来るのは秋が一番いい、ということなのでしょうか。例年、外国の弁理士は、10月から11月頃に日本にやってきます。
 
 うちのような小規模の特許事務所でも、毎年、何人かの外国弁理士にお越しいただきます。まして、以前勤めていた大規模な特許事務所では、かなり多くの数の訪問がありました。また、サラリーマン時代であると、特許部にも結構な数の外国代理人が来られました。
 
 海外の代理人の方というのは、仕事で付き合いはありますが、普段はレターやメールの文章で名前しか見ていないですし、電話で話すこともほぼありません。ですから、こういう機会でもなければ、顔も声も知らないという状況になりがちです。
 で、たまにこうやってお会いしてはじめて、「あ、こんな人なんだ」と思うわけです。
 
 やはり、こういうことは重要だなと思います。普段の仕事では、委任状がどうとか、各国の審査実務が、とか手続きに関する硬い話ばかりをしている相手です。でも、現実に会って話をしてみると、外国人とはいえ、一番根っこのところは同じ人間だなぁとも思います。
食事に行って酒が入ったりすると、こういう機会でもないとできない話ができたりもするので、刺激を受ける面も多いです。
 
 弁理士にとって、いい仕事をするためには「いい形」で各国代理人と付き合うということも仕事のうちの一部なんだろうな、とも思います。やはり、どうしても現地代理人には無理をお願いすることもあるし、逆にいい加減なことをされて文句を言わなければならないときもあります。
 人間、誰だって「嫌な人」に無理を言われると腹が立つけれど、「仲のいい人」に無理を言われても別に腹が立たない、ということはあると思います。
 一度でも一緒に食事に行って世間話をした人だと、やはり少しはお互いのことが分かったような気がするので、ちょっとした頼みごとをしやすかったり、無理を言えそうな気がしたりもします。
 いい仕事をするために腹を割りたいなら、こうやって顔を合わせる機会は重要かもしれないですね。特に事務所経営者ともなれば尚更です。
 
 というわけで、これからの季節、外国代理人訪問への対応もがんばらなければ、と思います。
 本当は各国へ行って現地事務所を訪問するということも重要な用事になるのですが、こちらは弁理士一人の事務所だと難しいですね。なかなか一週間も事務所を空にはできないですし。とはいえ、また機会があれば、そうやって外国代理人との関係を密にしていく努力もしなければ、と思います。

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2011年10月26日 水曜日

最近の読書あれこれ

 最近、久々に小説をたくさん読んでいます。こんなにたくさん小説を読む日々は久しぶりです。「読書がほんとうに楽しい」と感じるのも久々です。
 最近読んだ本のタイトルを並べてみると。
「武士道シックスティーン」「武士道セブンティーン」(以上、誉田哲也、文春文庫)「夜は短し歩けよ乙女」(森見登見彦 角川文庫)「警視庁特捜班ドットジェイピー」(我孫子武丸 光文社文庫)「陽気なギャングが地球を回す」(伊坂幸太郎 祥伝社文庫)「告白」(湊かなえ 双葉文庫)などなど。
 
 どれも面白かったです。というか、読んだなかで「面白くなかった」と思ったものは、ここにタイトルを挙げなかったわけですが。でもまあ、定評のある実力作家の本ばかり読んでいたわけで、「安全な読書」をしている、とも言えます。
 実際、私がここで個々の作品の感想を書くまでもなく、きっとネットのあちこちで感想文が見つかるんじゃないか、というような作品ばかりでしょう。
 
 こうやって、最近、読んで楽しかった本のタイトルを並べてみると、「告白」以外は明るい小説ばかりですね。日々特許事務所業務に追われて疲れているので、ほんわかした小説を読むのが楽しい、ということでしょう。
 昔、大学時代、大阪大学推理小説研究会に属していた頃の、マニアックな読書からは程遠い、大変健全な読書って感じです。大学時代、P.D.ジェイムズの「罪なき血」(ハヤカワ文庫)をサークルの読書会の課題図書に選んで顰蹙を買った頃からすれば、何と穏当な読書でしょうか。
 
 最近、ブログをさぼってろくに更新もせずに、こうやって読書をしていたということになるわけです。
 とはいえ、最近は日々の仕事の中で疲れることも多かったので、こういう息抜きもしないとやっていられない、という面もあります。やはり、仕事ばかりで人は生きていけないですね。
 
 「だからどうした」と言われれば、返す言葉もないどうでもいい更新ですが、あまり更新しないでほうっておくのもアレなので、書いてみました。気まぐれ更新なので、これからはこういうどうでもいい更新がしばらく続くかもしれませんが、ご了承を。

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2011年10月11日 火曜日

中国特許のこと

 中国での特許訴訟の記事が日本経済新聞に出ていました。
「中国メディアによると、「愛国者(aigo)」ブランドで知られる中国のIT(情報技術)機器メーカー、愛国者電子科技は10日、パソコンのUSB技術を巡る一審で東芝に勝訴したと明らかにした。(以下略)」(2011年10月11日、日本経済新聞)
 
 特許の仕事をしていると、色々な方に聞かれるのは
「中国の特許の実情はどうなっているのか」
ということです。
 中国特許で裁判を起こして、ちゃんと勝てるのか? ちゃんと裁判をやってくれるのか?という話です。
 
 それに対して、「少なくとも審査はここ数年で急速にレベルが上がって、審査の質という点だけなら、先進国との差は少なくなっている」ということを申し上げられます。
 
 しかし、訴訟という局面になったときがどうなのか、というのは私にはよく分からない状況です。実際に特許訴訟を行った日本企業から実情を聞くという機会も少なく、そこで何が起こっているのかも、実際に裁判に関与したわけでない部外者にはなかなか分かりません。
 
 この中国の訴訟の件も、果たしてどういう状況だったのか、具体的な特許の内容、東芝の実施形態、裁判所で裁判官が示した判断の手法等の詳細を調べなければ、中国の裁判所の判断が妥当なものであったかどうかは分かりません。それらの正確な情報を得ることは決して容易ではありません。
 
 日本企業の方が中国の特許について一番知りたがっているのは、
「果たして海外企業と中国国内企業とを公平に扱って裁判をやるのか? 中国国内企業に有利な判断をしてくるのではないか?」
ということです。
 
 そういう意味では、この判決の内容は興味の湧くところです。とはいえ、当然、判決文は中国語ですから、その内容を読むことはできないですし、東芝も詳細を公開するとは思えないので、非常にもどかしい状況ではあります。
 
 どなたか、この事件の詳細をご存知の方がおられたら、ぜひ教えて下さい。

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2011年10月10日 月曜日

心境の変化

 すっかりご無沙汰してしまいました。
 忙しかったというのもあるのですが心境の変化もあって、ブログ更新をしていませんでした。
「どうしてもこれだけは更新しなければ」と思うようなネタもなかったので、だらだらと更新しないままにしばらく経ってしまいました。
 
 心境の変化は何かというと大したことではないですが、
「しばらく色々なことを自分のペースでやっていこう」
と思った、ということです。
今まで週に何回かはブログ更新しよう、というようなことを自分で義務付けていた面があったのですが、今後、そういうことはやめよう、と思ったわけです。
 
 もう少し書くなら、ブログに限らず仕事全体について、「こうしよう」と決めて、それを必死で遂行する、というやり方はやめよう、と最近思いはじめています。
 それよりも、特許の実務に関すること以外は、自然に思いついたこと、やりたいことをやる、というスタイルにして行こう、と。
 
 特許事務所所長というと経営者なので、特許の実務の仕事以外にもやらないといけないこと、考えないといけないことが色々あります。ブログというのもその一部です。
 そういう種類の仕事に「正解」はありません。自分が「こうすればうまくいくんじゃないか」と思ってやったことがうまくいかないこともあります。逆に深く考えずにやったことが、よい結果に結びつくこともあります。
 
 その手の「正解のない仕事」をやるときは、何をやっても結果は予測できないのだから、「やりたいことをやりたいペースでやろう」と最近思いはじめました。
 どうせ最初に思い描いていた通りにならないなら、嫌なことを我慢してやるよりもやりたいことをやったほうがいい、という。「こうやればいいんじゃないか」と理屈で考えて、嫌なことを我慢して必死でやって、結果、うまくいかなかった、ということのストレスの大きさは本当にすさまじいものがありますので。
 
 「ブログ」についても、やっていて楽しいと感じるときと面倒くさいと感じるときとがあります。正直、今までは「面倒くさい」と思ったときでも我慢して色々無理にネタ探しして書いていました。
 しかし、このような心境の変化があったので、これからは「これは書いておきたい」というネタがあったときだけ更新する、という方針に変えていこうと思っています。
 
 というわけで、自分のなかで「ブログ書きたい」という思いが盛り上がってくれば更新回数も増えるかもしれないですが、しばらくは少し更新回数も減らしてマイペースでやっていこうと思っています。
 
 長々と言い訳をしてしましましたが、別にブログをやめるわけではないので、またよろしくお願いします。
 

投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL

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