特許コラム

2011年3月18日 金曜日

この一週間

 一週間、ブログの更新をストップさせて戴きました。
 
 私がこの災害について書けること、書くべきことは何もありません。このような状況のなかで、普段と変わらないペースと内容で更新することもできませんでした。
 
 しかし、
「影響を受けていない人間が一番すべきことは、日常の仕事をこれまでと同じように回していくこと」
という言葉を信じて、来週からは、通常通りの特許に関するブログ更新を復活させて戴きます。
 
 今回のような場合、お見舞いの言葉さえも、「失礼」に当たる場合があると私は思いますので、これ以上のことは控えさせて戴きます。
 
 来週からは、これまで通り宜しくお願いします。

投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL

2011年3月11日 金曜日

EU共通特許 25カ国導入を決定

 今朝(2011年3月11日)の日本経済新聞の記事です。
 
「欧州連合(EU)加盟国は10日の競争力相理事会で、EU共通特許の導入を決定した。(中略)企業は英語、仏語、独語のうち1つの言語だけで出願し、認可されれば大半のEU加盟国で特許として認められる。(以下略)」
 
 これまでのEPOの特許は審査手続きが統一されていますが、審査完了後に各国国内への移行が必要だったわけです。これが権利の管理の部分も一体化される、ということのようです。
 
 この記事だけでは分からないことも多いのですが、長年の懸案で「実現できないのでは」とさえ言われていた共通特許が実現の方向に向かう、ということのようです。
 費用については、不明の部分も多いのですが、とりあえず管理の手間は減るでしょうし、「市場は統一されているのに、特許は各国ごと」という不自然な状態は解消に向かうのではないかと思います。
 このあたりはおいおい情報が入ってきて、色々と明らかになって行くことでしょう。
 
 やはり、現在の景気が悪い状況のなかであると、逆に色々な改革が前進しやすい状況なのでしょうか。米国についても、大改正を行う法案が上院通過、とのニュースが入っています。
 米国のほうは、先願主義導入の法案が含まれているそうなので、下院で通過するかどうかが注目ですね。

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2011年3月 7日 月曜日

経済学のこと

 私は、理系出身で、弁理士という人間です。
 そして、世の中に色々とある学問の分野のなかで一番苦手なのはどこか、というと、経済学だと思います(まあ、理系とはいえ、技術系学問の幅は広いので、電子分野やバイオの最先端となるとわかっていないのですが、それは別として)。
 
 考えてみると、弁理士で経済学に明るい人は少ないのではないかと思います。まず圧倒的に理系出身者が多いですし、文系出身でも法学部出身の方が多いのではないでしょうか。
 
 弁理士試験のときも法律関係の科目は勉強しますし、その後、訴訟に巻き込まれたり、契約の仕事をしたりすることで、特許法以外の法律についても知識が少しはできてきます。
 しかし、経済に関してだけは、仕事でかかわることも勉強することもなかった、という気がします。これは、弁理士としては平均的なこと、という気がします。
 
 が、それでいいのでしょうか。
 弁理士は特許(や、意匠、商標)の仕事をするわけですが、特許法というのは産業の振興を図るための法律です。ということは、産業構造や経済に関する知識をある程度は持っていないと、クライアント企業にきちんと助言できなくなる場合もありますし、知財の実情についても、正しく理解できない場合があるように思います。
 
 例えば、最近、日本の電機企業と韓国の電機企業の特許事件が非常に多く発生していますが、これについて正しく理解したいなら、日本と韓国の産業構造の違いとか、それぞれの企業のビジネスモデルの衝突、ということについての知識が必要でしょう。裁判所がどのような理論で判決を下したか、という法律的な解釈も重要ではありますが、それだけで充分とは言えない気がします。
 
 私も経済について知識が薄いので、偉そうなことは言えないのですが、それでも、特許法の目的が「産業の発達に寄与する」ことである以上、弁理士が「経済について何も知らない」ということではいけないような気がしています。
 
 こういうことを少しでも思うようになったのも、独立したおかげ、といえるかもしれません。独立すると、「特許事務所経営」という自分自身の問題があります。自分の事務所の経営のことを日々考えていると、会社を見るときにも企業経営ということについても少しは考えが及ぶようになってきた気がします。
 
 とはいえ、あまりゆっくり勉強する時間はないので、深い勉強はできませんが、少しずつでもいいから、色々と知識を増やしていかなければ、と思っています。
 
 とりあえずは、以前あまりうまく取り上げられなかった「反知的独占」という本について、自分なりの考えをまとめられる程度のところを目標にしたいと思っています。

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2011年3月 1日 火曜日

辛口ですか?

 先週末、知人の弁理士と飲みに行ったのですが、その際に、本ブログの話になりまして、そのとき、
「辛口ですね」
と言われました。
 
 私は、別に辛口ブログにしようと思ったことは一度もなかったのですが、特にここ最近、自分でも「辛いこと」書いてしまっているな、とうっすら思ってはいました。
 辛口なことを書こうと思っていなかったのに、辛口になるというのは書いている当人が「辛口な人」ということなのでしょうか。
しかも、ブログをはじめて長くたち、初めの頃のように初々しさがなくなると「辛口」になるわけですから、これは今が私の本性ということなのでしょうかね。
 
知財業界に限らず、一つの業界で長く仕事をしていると、そのなかの「いいところ」よりも「悪いところ」のほうが気になってしまうのは、やむを得ないことだ、と思います。
しかも、「いいところ」は他の人にも話しやすいので、しゃべることも多いのですが、「悪いところ」はあまり喋らずに腹の奥にためていることが多いので、油断するとそれが毒として外に出てしまうのかもしれません。
 
とはいうものの。
私も一応、気がつけば十五年くらい知財の仕事をやっており、「ベテラン」という領域に入ってきました。で、そんな「ベテラン」がほんとうに思っていることを語らずに、「きれいごと」しか書かないというのも、健全なことではない、という気もします。
ベテランで色々なことを考えていることが明らかなのに、「きれいごと」しか語らない人って、逆に怖くないですか? そういう人のほうが「策士」であり、ある意味では「優秀」なのでしょうが。
 
私のような人間は、「策士」としてものを書くことなどできないので、「本音ダダ漏れ」の結果として「辛口」になってしまうわけです。でも別にそれを変える気などないわけです。「辛口ですね」とおっしゃった弁理士の方も「それが悪い」とは全くおっしゃらなかったわけですし。
 
というわけで何が言いたいかというと、「辛口ですね」と言われたものの、そんなことは気にせず、これからも今までどおり書いていく、ということです。宜しくお願いします。

投稿者 八木国際特許事務所 | 記事URL

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