特許コラム
2012年3月10日 土曜日
切り餅訴訟、両社とも和解勧告拒否 知財高裁、22日に最終判決
(新潟日報 3月9日)という記事がでていました。
「切り餅に入れる切り込みの特許権侵害をめぐり、越後製菓(長岡市)が佐藤食品工業(新潟市東区)に商品の製造・販売差し止めと、損害賠償を求めた訴訟で、知財高裁が勧告した和解を、両社とも拒否したことが8日、分かった。高裁は既に中間判決で佐藤食品工業の特許侵害を認め、22日には賠償額などを決めた最終的な判決を言い渡す予定。佐藤食品工業は最高裁に上告する見通しだ。
和解協議は先月、知財高裁で3回にわたり行われた。関係者によると、飯村敏明裁判長が和解を提案したが、佐藤食品工業側は「特許侵害はしていない」、越後製菓側は「中間判決ですでに特許侵害は認められている」という趣旨の主張を繰り返し、最終的に協議は不調に終わった。」
和解協議は先月、知財高裁で3回にわたり行われた。関係者によると、飯村敏明裁判長が和解を提案したが、佐藤食品工業側は「特許侵害はしていない」、越後製菓側は「中間判決ですでに特許侵害は認められている」という趣旨の主張を繰り返し、最終的に協議は不調に終わった。」
何かと話題になっている切り餅事件ですが、双方とも意地になっている感じですね。
知財高裁ではすでに侵害との中間判決がでていて、損害額についての話になっていたわけなので、「非侵害」という結論になることはないでしょうから、いくらくらいの損害賠償を認めるのか、第三者としては興味深いところです。
近年、日本の特許訴訟は「プロパテント」(要は、特許を強く保護する方向)に向かっている、と色々なところで言われています。そのことをアピールするのなら、こういう話題性の高い事件について高額の損害賠償額を認める可能性もあると思います。
原告の訴え中では59億4千万円の損害賠償請求を求めているということですが、どうなるのでしょうか。
しかし、「プロパテント」にせよ、その反対側の「アンチパテント」にせよ、どちらかが絶対的に正しいわけではなくて、その中間のどこか「いい塩梅」のところに落ち着かせることが重要、と感じます。なにごとにつけ、極端はいけないのであって、「適度」な感じに落ちつけばなぁと思います。
私個人の考えとしては、今回のような事件に対して高額の損害額を認定するのはあまりいいことではない、と思っているのですが、裁判所はどう考えるのでしょうか。
投稿者 八木国際特許事務所