特許コラム

2012年1月12日 木曜日

順風満帆なのか?

 昨年秋ごろ、とある所でお会いした方に私の略歴等をお話したところ、
「順風満帆の人生ですね」
と言われました。
 そのことが未だに心に残っています。
 
そう言われたことに腹がたつ、とかそういうわけではありません。
「他の人から見ればそう見えているんだろう」ということは、自分でも分かっていました。ただ面と向かって言われたのが初めてだったというだけのことで。だから、「ああ、やっぱり」と思っただけのことです。
 口に出さないだけで、同じように思っている方は他にもいるんだろうな、と思ったりもしました。
 
 公立のなかでは進学校と言われる高校を出て、名前の通った大学を出て、会社に入り弁理士になって独立して、という私の経歴は、「疵のない経歴」に見えるんだろうな、と思います。しかし、「順風満帆でつまずきがない」と言われたときに、ものすごい違和感を覚えたのも事実です。自分自身で今までの経歴をそう感じたことは一度もありませんでしたから。
 
 昨年は、ありがたいことに色々な人と話す機会がありまして。
 そのなかには、「私と同い年で、(大企業ではないけれど)かなり有名な会社の社長になっている人」、「中小企業の経営者一族の生まれで三十台前半にして取締役になって、次期経営者になる可能性が非常に高い人」、「私と同じような時期にベンチャー企業を立ち上げている人」とかともお会いすることがありました。
 
 そういう人たちを見たときに、私には「大変だなぁ」という言葉しか浮かびませんでした。「順風満帆だ」と思ってその人たちを見ることはできない気がしました。
 そういうことを思っていた直後だけに、「順風満帆」という言葉にものすごい「違和感」を覚えたのかもしれません。
 
 最近は、世の中に「順風満帆でつまずきがない」人生を歩んでいる人なんているのか? と思ったりもします。「順風満帆に見える」からこそ、そこに至るまでに苦労と努力があったはずです。
 私も今まで、それなりの苦労と努力はしてきた、と思います。でも、それは別に自慢することでも吹聴して回ることでもないと思っています(と言いつつ、こんなことをブログに書いてしまった以上は、「吹聴している」ことになるのでしょうが)。
 
 いや別に、ウチの事務所が現状苦しい状況にある、ということを言いたいわけでもないですよ。細々とではあるものの、何とかやっているので。
 単純に「順風満帆」と言われたことに、ものすごい違和感を覚えた、ということをちょっと書いてみたかった、というだけです。


投稿者 八木国際特許事務所

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