特許コラム
2011年7月 6日 水曜日
世界どこでも「お客様は神様」か?
特許の仕事をしていると、外国出願に関して外国の代理人と連絡することが多いので、日本人と外国人との考え方の違い、ということについて色々と思うときがあります。
そこで思うことを今日のネタにします。
日本人はほとんどの人が「日本人以外の人と交流することがない」ので、「外国人は・・・」ということを、日本人という視点から語ることになってしまいます。
でも、私が思うのは、
「世界的にみて、日本人の考え方は少数派なので、日本人が考えるように考えない外国人がほとんど」
ということです。要は、外国人が変だから意思疎通ができないという場合もありますが、日本人が特殊なせいで外国人とうまく意思疎通できない場合も多い、ということです。だから、日本人の視点ばかりで語っていてはうまくいかない、という気が最近します。
日本人固有の発想はたくさんありますが、そのなかで本当に注意したほうがいいんじゃないか、という日本人だけの発想は、
「お客様は神様」
という発想だと思います。客が絶対的に偉いという考えは、海外にはない発想だと思います。
「こっちは客で、客がこうやってくれ、と言っているんだからごちゃごちゃ言わずにこっちの言うとおりやってくれ」という発想は、海外では通じないことも多いように思います。
特許の世界でも、外国の代理人はなかなか
「クライアントに気を配って、そのやり方に合わせる」
ということはしてくれないです。
どちらかというと、
「ウチのやり方はこうなんだから、それに合わせて下さい。それが気に入らないなら他に仕事を出して下さい」
という発想のように思います。
このような発想に加えて、日本人のように神経質で細かいことまで気にする人種は他にいません。ですから、その神経質なところを全部外国の現地代理人にぶつけても、全然伝わらない、という気がします。
こういうことについて「どちらが正しい」と言うことに意味はありません。外国の考え方を変えさせることなど、そもそも不可能です。そういう発想の違いは「文化の違い」であって、変えるべきものではないはずです。
知財の分野に限らず、最近、「グローバル人材」という言葉が語られることがあります。でも、それは一般に言われるような「外国語に堪能」とか「外国の法律や会計等の知識がある」とかそういうことだけではないように思います。
それよりも「世界のそれぞれの国にはそれぞれの国のやり方がある」ということを理解した上で、うまく現地の人と意思疎通をして、こちらに有利な条件を引き出す、という力であるように思います。その力については、やはり「日本人は弱い」と言わざるを得ません。
弁理士もこれからはそういうことを真剣に考えなければならないのかもしれないですね。
投稿者 八木国際特許事務所