特許コラム
2011年5月10日 火曜日
訴訟件数の減少
日本の知財訴訟の件数は減っている、ということのようですね。2004年に214件だった後、件数が減少していき、最近は年150件程度で推移している、とのことです。
この数字をどう見るのかは難しいところですね。
知財業界での「金銭的利益」という観点からみれば決して良いことではないので、
「もっと訴訟を増やすべき」
ということになるのでしょうが、それもどうか、という気がします。
「訴訟」というのは、もめ事が話し合いでは解決できなくなったときに起こることです。「訴訟が少ない」ということは、「もめ事が話し合いで解決されている」と考えられるわけで、それは別に「悪いこと」ではないでしょう。
例によって、
「アメリカと比べると」
という言葉を使う人もいるわけです。ちなみに、アメリカにおける知財の訴訟の件数は日本よりも圧倒的に多いです。
しかし、アメリカは訴訟社会で、知財に関係なく訴訟件数自体が日本よりもずっと多くなっています。珍妙な訴訟が多く起こっている、というのは多くの日本人も聞かされたことのある話でしょう。日本においても、ああいう変な訴訟が頻発するようになったらいい、と思っている人はまずいないでしょう。
それなら、訴訟件数の話で「アメリカと比べて」という話をするのはおかしなことだと思います。
とはいえ。
日本の場合、単なる「事なかれ主義」で「訴訟は面倒」という考えからこういうことが起こっている可能性も否定できません。
そのあたりの「バランス」をうまく取れるか。
難しいことですね。
投稿者 八木国際特許事務所