特許コラム
2011年1月26日 水曜日
アメリカのrule
前に特許事務所に勤務していたとき、一度だけ米国出張に行かせて戴いたことがあります。米国で現地の特許事務所への挨拶回りをして、更に特許庁面接を行ったわけですが。
たった一週間の出張でしたが、非常に有意義であり、行かせて戴いたことに今でも感謝しています。
それはなにかというと、現地で現地の人と話をすることで、日本にいたら絶対に分からない「アメリカ」というものを垣間見ることができた、ということです。
そして、アメリカで現地の弁理士とランチに行ったときの会話が一番印象に残っています。
店はオールドスタイルの少し高級なハンバーガー店でした。テーブルに運ばれてきた料理は、皿に載せられていてフォークとナイフがついていて、マクドナルドとはかなり様子が違います。
が、よく見ると、半分に切った丸いパンの間にハンバーグが挟んであるので、確かにこれはハンバーガーです。
しかし、上部のパンはひっくり返された状態で、下のパンとハンバーグとは別に脇に置かれています。
そこで、私は悩んだのです。これはこのまま食べるべきなのか、あるいは上のパンをハンバーグの上に載せて、マクドナルドのように一体化させて食べるべきなのか、と。
で、食事に連れて行ってくれた米国弁理士の先生に、これはどうやって食べるものなのか、と質問したときの答えは単純明快でした。
「好きにすればいい」
ということでした。
そしてその後に言った言葉が忘れられません。
“There is only one rule in the United States. It is that there is no rule”.
日本人からすると、「何だそれ?」という言葉なのですが、しかし、私はその言葉で「アメリカ」というものを少し理解できたような気になりました。
さすが自由の国アメリカということになるわけですが、こういう国のことを、しがらみや規則でがんじがらめにされている日本人が理解できるはずもないですし、色々なところで違和感を覚えるのは当然とも言える気がしました。
だからといって、根本的なところを見ると、結局は人間同士、考えていることの根本は同じようなもの、という別の側面もあるのであって。そういうところが面白くもあり、難しくもあるなと思います。
投稿者 八木国際特許事務所