特許コラム
2010年11月18日 木曜日
特許法改正の新聞記事(発明公表後も出願可能)
今朝(2010年11月18日)の日本経済新聞朝刊に法改正の記事が出ていました。
「(略)……現在、公表後でも出願が可能なのは特許庁長官が指定する学会などでの発表に限られている。特許戦略で海外に後れを取り、日本の競争力を阻害する一因にもなっている。法改正によって、本人が研究成果をどの学会で発表しても6カ月以内に出願すれば特許が取得できるようになる」
とのことです
特許法第30条の改正ということですね。
この法改正が具体的にどのような形になるのか、良く分からないですから、発明者・出願人の方々は、くれぐれも先走りされませんようにお願いします。
今はまだ法改正も適用されていませんから、改正法の施行日が明らかになるまでは、必ず学会発表前に出願するように心がけて下さい。
最近は特許法の改正についても新聞記事になることが多いですが、記事になって実際に法改正されて、施行されるまでは時間がかかります。発明者の方からは、
「この前新聞でこういう記事を読んだんだけど……」
という相談をされることがあるのですが、法改正は時間かかります。今回の件も、「来年中の法改正めざす」とありますので、まだかなり先のことです。ご注意ください。
まあ、これはいい改正ではないか、と思います。世の中には、自分自身で発表したのなら、公表した後でも特許を取れる、と誤解されている方が大勢いらっしゃいますから、誤解があっても救済の道がある、というのは悪いことではないように思います。
もっとも、これが「特許戦略で海外に後れを取り、日本の競争力を阻害する一因にもなっている」という記事の文章の正否は、意見の分かれるところでしょう。私は個人的にはこの記事について、ホントか?と思います。
可能であるなら学会発表をしたという証明書の提出義務をなくして欲しいなぁと思うのですが、ここはどうなるのでしょうか。
要は、「出願前6月以内に発明者自身が発表したものは、手続しなくてもすべて先行文献とならない」という形にしてくれれば、証明書作成の手間も省けますし、審査においてもそれほど不都合を生じるわけでもないように思います。
いずれにしても、法改正の具体的な内容が明らかになるまでは、くれぐれも慎重にお願いします。また、法改正された後でも、できるだけ公表前に出願すべき、という原則は変わらないように思いますので、ご留意願います。
投稿者 八木国際特許事務所