特許コラム
2010年11月 9日 火曜日
審査官面接(1)
弁理士の仕事は色々ありますが、そのなかの一つで弁理士の能力の差が一番でやすいところである、特許庁での審査官面接について、何回かに分けてお話させて戴きます。
ここのブログをこれまでに拝見された方はお分かりでしょうが、私は一つの話題を延々と続けるのが苦手なので、他の話題を挟みつつの気まぐれ更新になると思いますが、お付き合い下さい。
毎度のことですが、本題に入る前にお断りをします。
ここで書くのは「私のやり方」です。私は特許の仕事を始めて15年程度、その間に何度も審査官面接をやってきました。そのなかで、「私が正しい」と思うやり方をここで書かせていただきます。
面接のやり方は人それぞれで、正解のあるものではありません。しかし、「やらないほうがいいこと」「気をつけたほうがいいこと」があるように私は思っています。そういうちょっとしたコツのようなものを知っているだけでも、ずいぶんと結果が変わってくると思います。
また、ここで私が書くやり方が正しくない、と思われるのならそれで結構です。弁理士たるもの、自分の考えややり方があって然るべきであり、それが私のやり方と違っていたとしても、それは何の問題もないことです。
ただ、経験が浅くて、面接をやるときどこに気をつければよいか分からない、という方もおられると思うので、そういう方のために私なりの経験で考えていることを公開するという趣旨です。
あくまでも、「自分のやり方」を作っていくうえでの参考とするものと考えてください。
前置きが長くなりました。本題に入りましょう。
私が考えるやり方は幾つかポイントがあります。それを順次述べていきます。全部書いていくと長くなるので、このテーマは何回か続くことになります。何回になるかは自分でも分かりません。書くことがなくなったときが終わるときです。
ポイント①
面接は、言いたいことを言いにいくのではなくて、どうすれば特許が通るのか情報を仕入れにいくためのもの
これは、私の考えの根本です。
審査官はバカではありません。拒絶理由において審査官が言っていることは、ほとんどの場合、一応の筋が通っていることです。
それに納得行かないから「納得行かない」と言ったところで、「ああそうですか」と言われてしまうだけです。
審査官に対して「あなたの言うことは間違っている」と大見得を切れば気持ちはいいでしょう。しかし、それを言われた審査官が「分かりました。じゃあ特許にしましょう」と言うことは基本的にはないわけです。
あくまでも、特許査定を得るためにはどうすればいいのか、ということだけを考えて、審査官の判断の中で議論の余地があるところを何とか見つけ出して、そこについて審査官と話し合う、ということが根本姿勢になると思います。
その場で合意に至らなかったとしても、少しでも役に立つ情報が仕入れられればそれでいいと思うべきではないでしょうか。
ポイント②
拒絶理由通知をちゃんと読む
何を当たり前のことを……と思うかもしれません。
しかし、これがきちんとできていない人は結構いますよ。読むだけではなくて、拒絶理由において指摘された事項のどこで反論をするのか、自分のなかで決めておくことは必須でしょう。
上の①とも関わることですが、拒絶理由通知のなかでは反論しても無駄なところと、反論の余地があるところとがあります。反論しても無駄なところで反論すると、
「あ、この人、審査実情を分かっていないな」
という印象を審査官に与えるだけで、何のプラスもありません。
読みながら、反論の余地のあるところないところを区別して、反論の余地のあるところの議論のみを行う、という姿勢は重要だと思います。
と、ここまでは「当たり前」のことです。
投稿者 八木国際特許事務所