特許コラム

2010年11月 1日 月曜日

LYUBOV BRUK & MARK TAIMANOV

 今から特許にも化学にも全然関係のない話を書きます(特許ブログなのに……)。
 話はかなり遡るので、前置きが長くなることをご了承下さい。
 
 私は小学校の5年生くらいから、自己流でピアノをやってます。最近は、練習の時間もないので、ほとんど弾いていませんが、高校生の頃などは、平日に最低2時間、日曜日は5,6時間は練習をしていました。夏休みはほぼ毎日5時間くらいはピアノを弾いていたのではないでしょうか。
 それだけ練習したので、素人にしてはまあまあ弾けるほうだと思います。
 
 で、社会人になり、弁理士試験の勉強をしたりすると、ピアノを弾く時間などなくなってしまいます。
しかし、弁理士試験の勉強の時期は、ピアノのCDを聞くことに熱中していました。勉強をしながらずっとピアノのCDをかけていました。土曜日に受験予備校に行った帰りに、タワーレコードに行ってCDを漁るのが数少ない楽しみでした。勉強しながらできる楽しみとなると、それくらいしかなかったわけです。
 そのせいで、我が家には「どうするんだ」と言いたくなるほど大量のピアノ曲のCDがあります。
 ちなみに、私はピアノに関しては100%クラシック派なので、ほぼすべてクラシックのピアノ曲のCDです。
 
 その大量のCDの中には、私が強い思い入れを持つものが幾つかありますが、そのなかで一番奇妙な思い入れを持つのが、これです。
 
 タイトルのLYUBOV BRUK & MARK TAIMANOVというのはピアニストの名前で、旧ソ連の夫婦デュオです。今見ると、1959~1968年にかけて録音された音源です。私が持っているCDは2000年前後に「Great Pianist of the 20th Century」というタイトルで100タイトルでたもののうちの1つで、2枚組で長時間入っているお得CDです。
 入っている曲は、ピアノマニアな私でさえもあまり馴染みのない曲がほとんどです。モーツァルト、ショパンは皆さん作曲家としては知っているでしょうが、ここに入っている曲は有名なものではありません。
それ以外はラフマニノフ、プーランク、アレンスキー、ブゾーニという一般には馴染みのない人たちの曲です。
それもやむなし。連弾や二台のピアノのための作品というのは、決して数が多くないですから、そういう曲で2枚のCDを埋めようとするとこういう結果になるわけです。
 
 と。ここまでで前置きです。
 で、何が言いたいかというと、私はこのCDが本当に大好きで、何回も繰り返し聞いています。が、このCDについて私と話をしてくれる人は誰もいないのがとても悲しいです。
 特に、プーランクの「2台のピアノのための協奏曲」は何回聴いても新鮮に聴こえる不思議な演奏だと思います。「ロシア的」というより「ソ連的」な圧迫された鬱屈があって、プーランク(フランス人)の曲なのに、異様に重苦しい熱気があるという。荒々しい野性的なオーケストラの響きも最近のオーケストラでは聴けない独特のものですし、録音があまりよくないのも、かえって「ソ連」的に聞こえます。
 ラフマニノフもいいです。お国ものですから、こちらは「らしい」演奏です。非常に熱っぽくて、どこか病んだ印象を受けるのもラフマニノフにふさわしいといえるでしょう。
 と、ここで書いても興味を持ってくれる人が誰もいないわけですが。
 
 そもそも、このCDが出た直後に買って聴いて、非常に感動した私はクラシックマニア御用達の某雑誌のCD評を見たのですが、ほとんどまともに取り上げられていません。その後も、話題に上ることはなく、CD屋の店頭から消えていきました。
 自分のことではないのに、なぜか「無念」という思いを抱いたのを覚えています。
 
 だからどうした、と言われることを承知でこんなことを書いたのは、週末、久しぶりにこのCDを聴いたら「やっぱりいい!」と思って、つい書いてしまった、ということでもあります。お許し下さい。次回からは特許ブログに戻ります。
 
 ちなみに、夫のMARK TAIMANOVはチェスのプレーヤーでもあったそうです。それも世界選手権にも出場するようなレベルの。で、今Google検索すると、日本語ページはチェスに関するページしか存在しませんでした(それも哀しい……)。
 その内容を読むと、結構大変な人生だったようで、ピアニストとしての活動を国家から禁止されて経済的に行き詰ったせいで1970年代に離婚してしまったようです。
 
 更に、このCDにも幾つかの曲が入っているプーランクという作曲家は、フランスの大手化学会社、プーラン(合併を繰り返して、今はサノフィ・アベンティス)の創業者の息子ということです。
 最後に無理やり化学の話と結びつけたところで、今日のブログはおしまいです。
 
 あ、ちなみに、ここではマイナーなピアニストの名前を書きましたが、その他は私の好きなピアニストは普通ですよ。決してアンチメジャーということを思っているわけではありませんので。


投稿者 八木国際特許事務所

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