特許コラム

2010年10月19日 火曜日

長尾山古墳

 10月16日に行われた宝塚市の長尾山古墳発掘の現地説明会に行きました。
 
 私は別に考古学マニアというわけではなく、こういう現地説明会に行ったのも初めてです。が、以前から「現地説明会」という響きに微妙な憧れを持っていました。
 
 遺跡発掘で何かが見つかったときは、その新聞記事には大抵、「×月×日に現地説明会が」というようなことが書いていますよね。この現地説明会という場所で何をやっているんだろう、ということにいつも興味を持っていました。
 しかし、近い場所で現地説明会が行われる機会がなく、休みの日に遠くまでわざわざ出かけるほどの考古学ファンでもないので、行ったことありませんでした。
 
 ところが、今回は自宅から45分くらいで着くような場所です。ということで、ちょっと行ってみるか、と現地説明会初参加となったのでした。
 
 場所は、阪急宝塚線山本駅から歩いて約15分。かなりの坂と階段を上った先です。新興住宅街によくある、小高い山を利用した公園の片隅に古墳はあります。
 それだけ登っただけあって公園からの眺めはよく、大阪市内までよく見えます。権力者が墓を築く場所としてはいい場所じゃないか、という感じです。
 
 現地説明会が始まる10分ほど前に到着すると、さすが、新聞に掲載されただけあって、かなりの人が集まっています。年齢層は全体に高くて、二十歳代の人はほとんどいません。仕事を引退された世代の方が多いように思いました。
最初に挨拶があって、それから順番に発掘現場を見学という流れです。しかし、現場は狭くて一度に20人くらいしか入れないのに、集まった人の数が多いので現場見学まで1時間くらい待ちました。
 が、秋晴れの好天であること、待っている間、発掘の担当者があれこれと説明や質疑応答をしてくれていたおかげで、退屈せずに1時間過ごすことができました。
 
 そして、見学となったのですが。
 
 いや、やはり、行ってみるもんですね、というのが正直な気持ちです。
 ここで、見たものの具体的内容を書いたり、説明で聞いた話を書いたりしたとしても素人の私からすれば、新聞記事に書かれたことに追加するようなことがあるわけではありません。
 
 しかし現実に見ると、数で「長さ6.7メートル」と言われるのとは違い、「でかい」ということが本当に実感できます。粘土で棺を覆った粘土槨が遺存状態よく発見された、ということが今回の重要な発見ということですが、目で見ると粘土の質感、保存状態のよさ等もはっきりわかります。なるほどこれは重要な発見なんだろうな、と納得できます。
 
 しかも、内部は盗掘されていないことから、副葬品が見つかる可能性がある、と分かっていながら開くことはできない、という。
 なんでも、今の考古学では開くと劣化してしまうようなものを開くことはしないというようなお話でした。それに粘土槨が完全に残っているだけに、それを崩してしまうことは文化財の破壊ということになるので、なかなか開けないという、勿体ないようなお話でした。
 
 初めての「現地説明会」は、上でも書いたように「行ってみるもんだな」、というのが感想です。
 新聞の記事で読めばそれで一応どんな発見があったのか、言葉では理解できます。しかし、現場で遺跡を見て、専門家のお話を聞くと、単に新聞で読んだものとは全く違う色々なことが感じられて、実感として理解できた気がします。
 
 また機会があれば、他の現地説明会も行ってみたいと思いました。


投稿者 八木国際特許事務所

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