特許コラム

2010年8月17日 火曜日

パラメータ特許②

以前、パラメータ特許について書かせて戴きましたが、今回は、その続きを書かせて戴きます。
 
化学特許について語るときに、特殊パラメータ特許は避けて通れない道です。それは、「特殊パラメータ特許でなければ表現できない発明があるから」です。
 
しかしながら、現状の特殊パラメータ特許出願の多くは、本来の筋を離れて、
「普通の表現だと権利化が難しいから、特殊パラメータを入れてしまえば、新規性・進歩性がない発明について、新規性・進歩性があるかのように誤魔化せるから権利化しやすくなる」
という意図で使われているように思います。
 
しかし、こういう発想で出願するのはあまり良くないのでは? と思います。
別にきれいごとで言うのではなくて、本質的に新規性も進歩性も無い発明を誤魔化して権利化しても、それで権利行使はなかなか難しいことのように思います。
裁判では、特許を潰す側も本気です。そして、本気で特許を潰しにかかられたときに、潰せる特許と潰せない特許があり、潰されないようにするための方策を練った特許でなければ、権利行使は難しくなりやすいです。
 
「ごまかし」でパラメータ特許にすると、多くの場合はどこかに「筋が通らないところ」が発生してしまい、それが無効理由につながってしまうことになります。
 
つまり、「特殊パラメータ」を導入した技術的意義、効果が得られる作用等の技術事項においてきちんと筋が通っていなければ、後で苦しいことになるのです。したがって、この技術的事項をどこまできっちりと書けるのか、がパラメータ特許の生死を分けるポイントになります。
 
しかし。
本当に生き延びられる特許に育て上げるところまで、技術的事項をきちんと積み上げることは、並大抵ではできないことです。明細書を作成する時点で理論がきっちりできている場合はいいのですが、ちょっとした思いつきで考えたパラメータ特許について、穴のないストーリーを作り上げることは本当に難しいし、大変なことです。
そこまでやる、という覚悟のもとでパラメータ特許を出願するのであればいいのですが、なかなかそこまで腹をくくってパラメータ特許を出願することはありません。
 
そこまで腹をくくれないのなら、こちらとしてもどうしても「パラメータ特許はやめておいたほうが・・・」というアドバイスになってしまうわけです。
 
そうは言っても、現実にはいい加減なパラメータ特許なのにまぐれ当りのように色々なことがうまくいくこともあるので、簡単にパラメータ特許を否定できないのもまた辛いところですが。
 


投稿者 八木国際特許事務所

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