特許コラム
2010年6月 1日 火曜日
化学特許②
化学特許についての話の続きです。
化学特許の特徴として、
侵害の証明が難しい
ということを前回のブログで書かせて戴きました。
何故でしょうか。
それは、
①分析が難しい。(技術的理由)
②他社が何をやっているのかは、実際の製造現場を見なければ分からない。(企業秘密の問題)
があるように思います。
化学分析は、「何でもできる」わけではないです。特に分離という作業には限界がありますから、混合物のなかから目的の化合物のみを取り出してその物性を分析する、というのは極めて難しいことです。
そして、何とかうまくやった、と思っても、敵側からは「分析におけるこの作業はおかしい」といった文句が分析のあちこちに対してつけられてしまいます。
特許を書くときは、発明者は実験者ですから、原料が何でどのような反応をして、ということはすべて分かっています。分かっているから、特許を書くときは困りません。混合物について、この中には何が入っているんですか? と聞かれてもすらすら答えることができます。自分で混ぜて混合物を作ったわけですから。
しかし、特許が成立したときに、最終製品のみを目の前に置かれて、分析手段のみを使って、その組成物の中身を正確に分析するというのは本当に大変なことです。分野によっては、そのようなことは不可能ということもあるでしょう。
一方、他社は自分たちの製品の詳細については絶対に教えてくれません。製造現場を見ればわかることでしょうが、製造現場を同業他社に見せてくれる会社なんて、まずありません。それは、企業秘密に属することですから、教えてくれない限りは正当な手段で正確に知ることはできません。
最終製品を市場に流している会社であれば、最終製品は入手できますが、化学会社は素材メーカーであることが多いため、敵が作っている製品自体を入手できないことも頻繁にあります。
このような状況の中でどうやって他社の侵害をつかむのか。
それは極めて難しいことです。運不運もありますし、技術分野によって他社を追求しやすい分野、追及しにくい分野もあるでしょう。
ただ、結局は、日々のルーチンの仕事のなかで、どこまで「侵害になった場合」ということをイメージして作業を行うかということしか対応策はないように思います。
もちろん、力を入れてきちんとした対応をしていても、結果として他社を追及できなくなってしまう場合も多々あります。しかし、個々の案件ではなく全体としてみれば、「生きた特許」を獲得する割合は「侵害になった場合」をイメージすることできっと高くなるはずです。
では、「侵害になった場合」をイメージするというのはどういうことなのか? どうすればいいのか?
それはまた難しい問題です。そこまでの話を一気に書くことは難しいので、そのあたりはまた次の機会に。
化学特許の特徴として、
侵害の証明が難しい
ということを前回のブログで書かせて戴きました。
何故でしょうか。
それは、
①分析が難しい。(技術的理由)
②他社が何をやっているのかは、実際の製造現場を見なければ分からない。(企業秘密の問題)
があるように思います。
化学分析は、「何でもできる」わけではないです。特に分離という作業には限界がありますから、混合物のなかから目的の化合物のみを取り出してその物性を分析する、というのは極めて難しいことです。
そして、何とかうまくやった、と思っても、敵側からは「分析におけるこの作業はおかしい」といった文句が分析のあちこちに対してつけられてしまいます。
特許を書くときは、発明者は実験者ですから、原料が何でどのような反応をして、ということはすべて分かっています。分かっているから、特許を書くときは困りません。混合物について、この中には何が入っているんですか? と聞かれてもすらすら答えることができます。自分で混ぜて混合物を作ったわけですから。
しかし、特許が成立したときに、最終製品のみを目の前に置かれて、分析手段のみを使って、その組成物の中身を正確に分析するというのは本当に大変なことです。分野によっては、そのようなことは不可能ということもあるでしょう。
一方、他社は自分たちの製品の詳細については絶対に教えてくれません。製造現場を見ればわかることでしょうが、製造現場を同業他社に見せてくれる会社なんて、まずありません。それは、企業秘密に属することですから、教えてくれない限りは正当な手段で正確に知ることはできません。
最終製品を市場に流している会社であれば、最終製品は入手できますが、化学会社は素材メーカーであることが多いため、敵が作っている製品自体を入手できないことも頻繁にあります。
このような状況の中でどうやって他社の侵害をつかむのか。
それは極めて難しいことです。運不運もありますし、技術分野によって他社を追求しやすい分野、追及しにくい分野もあるでしょう。
ただ、結局は、日々のルーチンの仕事のなかで、どこまで「侵害になった場合」ということをイメージして作業を行うかということしか対応策はないように思います。
もちろん、力を入れてきちんとした対応をしていても、結果として他社を追及できなくなってしまう場合も多々あります。しかし、個々の案件ではなく全体としてみれば、「生きた特許」を獲得する割合は「侵害になった場合」をイメージすることできっと高くなるはずです。
では、「侵害になった場合」をイメージするというのはどういうことなのか? どうすればいいのか?
それはまた難しい問題です。そこまでの話を一気に書くことは難しいので、そのあたりはまた次の機会に。
投稿者 八木国際特許事務所